Vol.2
ダイアログ・イン・ザ・ダークの活動を通して「見えない文化」の人が感じることとは?

今回は、ダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパンでアテンド、講師として活躍する松村さん、川端さんに、活動を通して思うこと、これまでの中で感じてきたことなどをお伺いしました。
ダイアログは「見えない文化」と「見える文化」
を対等に捉えるための最適な方法)
松村さんは、ダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパンが設立された当時からアテンドとして活躍してきた人。8年前は学生でした。10年超の活動を通じて思うダイアログとは、「見えない文化と見える文化を対等に捉えていただく、最も手早い方法」だと語ります。
「視覚障がい者を「かわいそう」とか、「能力の劣る人」という目で見る人はまだまだ多いと思いますが、マッサージ師やびわ法師など、昔から秀でた能力を持った人は沢山いたし、自分をかわいそうだなんて思ったこともない。ただ「見えない文化」の中で生活をしているというだけのことです。そのことを多くの方に実感していただき、既成概念をまずはブレイクスルーして欲しいと思います」。(松村さん)
ここで活動を始めて5年になる川端さんは、「暗闇体験で色々な発見を自発的にしてもらうために、どのようなご案内をすればいいのか?ということを常に考える」と言います。
「暗闇の中にいる人の感覚は無数。「見る」という概念が消えた時に感じる世界は、参加者自身も未知なるものなのです。そこに正解はありません。「不安だ」とか、「怖い」とか、「何か分からない」とか、感じ方は色々でいい。暗闇の中に突然放り込まれた瞬間から新しく出来あがっていく感覚や、不安定な状態を楽しんでいただきたいと思うんです。私がこの90分の暗闇体験から感じて欲しいものは、「割り切れない感情」や「不思議な感覚」から芽生える「疑問」という名の発見。「わからない」を見つけることそのものが面白いんです」。(川端さん)
見えるという概念は発想が豊かな子どもにはない、大人ならではの既成概念。けれどもそのいずれも正解であり間違いはありません。体験者がどこにどんな着地をしても、そのダイナミックスをそのまま受け止め、それを大切にして欲しいと川端さんは言葉を続けます。
「ここでの体験を通して、これまでにはなかった新たなコミュニケーションを感じてもらうきっかけや、人とコミュニケーションを取ることの楽しさ、人と触れ合うことの大切さを伝えていきたい...そう思います」。
人は「見る」ということに縛られ、人からどう見られているか?という感覚に捉われています。けれども、本当に大切なのは、「人が自分をどう思うか?」ということではなく、「自分がどう思うか?」ということのハズ。自分自身のことは、他の誰でもない、あなた自身が決めればいい。そうしたことを、再認識できる発見と気づきの場にしていきたいと、松村さん、川端さんは力強く語ってくださいました。
「見えない文化」を体験することで
現代を乗り越え時代を切り開くきっかけを作る!
こうした「気づき」や「発見」の先に、今の不安定な時代の突破口となるヒントがあると松村さん。「見えない文化」の能力を活かせば、今以上の「何か」が生まれるハズだと確信しているそうです。
「現代は、社会でも企業でも「既存の方法」やこれまでヨシとされていたことが通用しない時代になっています。だからこそ、ダイアログ・イン・ザ・ダークを体験することで既存とは違う方法で世の中や個人を見るという視点を発見して欲しい。これまでの既成概念をブレイクスルーして、新しい何かを取り入れるきっかけ創りになればと。今後は自分たちの能力をどんどん活用して個々のブレイクスルーのために使っていきたいし、色々なものを持ち帰って欲しい!」(松村さん)。

松村さんがそう言って私に紹介してくださったものがあります。それが写真にもある、ダイアログ・イン・ザ・ダーク・タオル。洗濯を重ねてもやさしい風合いが長持ちするアメリカ産のビマ綿を使用したLargo(ラルゴ)、フィット感のある気持ちよい肌触りで肌馴染みのいいエジプト産の綿花ギザ88を使用したModerato(モデラート)、アメリカ産ナンホーキン綿を使用、洗濯乾きが早く、タオルの表裏を使い分けできるAllegro(アレグロ)と、3種が揃います。このタオルは、肌触りに徹底的にこだわって開発したもの。「見える」、「見えない」という呪縛から解き放たれたところで開発されたものであり、視覚障がい者の自分たちだからこその観点を活かしたものだったと川端さんは言います。
「私たちには毛足すらも見ることができません。ですから肌触りには徹底的にこだわりました。文化の異なる人がそれぞれの感覚を生かしてタオルを作ったら、こんな種類のタオルができた...という感じですね」(川端さん)。
みなさんは、ライターやストローなど、私たちの生活を豊かにしてくれている色々なアイテムが、もともとは障がい者の生活をヒントに生みだされたという説があることをご存じですか?
松村さんの言葉にもあるように、こうしたモノの数々は、障がいを持つ人の能力を最大限に発揮した結果。タオルという商品は、普段何気なく使っているアイテムですが、吸収力や肌触りなど、意外に好みが分かれるところ。こうした着目の鋭さは、やはり「見えない文化」の人ならではの着眼点なのだと実感します。
「見えない文化」が教えてくれること。それはこうした商品作りにのみ活用されているわけではありません。ダイアログ・イン・ザ・ダークでは、この「暗闇体験」を使って、ビジネスセミナーを行なっているのです。
現在、ある程度の規模を持つ企業では障がい者雇用が義務付けられています。けれども、実際にはその活躍の場は非常に少ないのが現状。
ダイアログ・イン・ザ・ダークは、障がい者雇用のために始まった事業ではありませんが、結果として多くの視覚障がい者に「自分にも何かできることがある」、「活躍の場がある」と自信や勇気を与えるきっかけにもなっているように思います。それを改めて感じたのが、今年の夏、こちらで行なわれたインターンシップでした。
目の見える/見えない全国の学生たちが、日常をひととき離れ、東京でこの夏感じたことはなんだったのか?
「暗闇体験」がビジネスセミナーに使われる理由、そしてそこで得られるものとは?
次回Vol.3では、そうした内容についてお届けいたします。
どうぞお楽しみに。
Dialog in the dark(ダイアログ・イン・ザ・ダーク)
http://www.dialoginthedark.com/
まっくらななかでのソーシャル・エンターテイメント
主催:特定非営利活動法人 ダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパン
東京都渋谷区神宮前2-8-2 レーサムビルB1F
最寄り駅:銀座線「外苑前駅」徒歩10分、JR「千駄ヶ谷駅」徒歩13分
2011年7月19日&28日 インタビュアー:さかぐち あや
~profile~
さかぐちあや(Aya Sakaguchi)
ライター&アジアンセラピスト。 OLにて3年過ごした後、「書くこと」を履歴に活動を始めて10数年。取材で出会った「Spice」の世界に魅せられバリ島で開眼!一気に東南アジアフリークになる。途中からフードコーディネーターやらコンテンツディレクターやらと尾ヒレ背ヒレが付き始め、現在はインドネシアを中心に、アジアのライフスタイルで心身を健康にする「アジアンセラピスト」と「書くこと関連」を並行して行なっている。



